くるくる保健室 No.5 『腰痛について』

くるくる保健室タイトル
illust3020

illust3784

それではここで、原因のはっきりする特異的腰痛を挙げてみます。皆さんも聞いたことがあると思いますが、 ①急性腰痛症(ぎっくり腰)  重い物を持ち上げたときや急に姿勢を変えたときなどに起こりやすく、激しい痛みが急激に起こります。西洋では魔女の一撃とも呼ばれ、体を動かした時に腰が痛み日にちの経過とともに症状が軽減いたします。どんなに痛みが強くとも約3週間もすれば治癒いたします。 ②腰椎圧迫骨折  腰に圧力が加わって、椎骨がつぶれることで起こります。事故などによって起こる事も多く、高齢者では骨粗鬆症が背景にあり尻もちをついたり寝返りうったり、くしゃみをしたただけでも発症することがあります。お年寄りが身長の低下によって気付く場合も少なくありません。 ③腰椎椎間板ヘルニア  腰痛のほかに、所謂坐骨神経痛様疼痛や腰や脚の痺れ感・麻痺・脱力感・排尿障害などの症状が出ることがあります。前屈すると症状が増強致します。 ④脊柱管狭窄症  腰や脚の痛み・痺れによって休み休みでないと歩き続けることが出来なくなる間欠性跛行が出現します。灼熱感・脱力感・排便排尿障害・会陰部のほてりなどの症状が出ます。体を後ろに反らす動きをすると症状が強まり、前屈すると楽になります。 ⑤変形性腰椎症  加齢により腰椎が変形して起こります。レントゲンを撮ると腰椎にトゲの様な骨の突起(骨棘)が見つかります。腰痛の他にも、臀部や太ももにも痛みを感じる事があり、朝起きたときなどの動作開始時に痛みが強く出たり致しますが、動いているうちに症状が軽くなります。長時間の同姿勢で痛みが増強します。 ⑥腰椎分離すべり症  腰椎を繋いでいる筋肉の連携部分が切れてしまい、繋がりの緩くなった腰椎が体の前方へとずれていくことで起こります。子供の頃に激しい運動をしていると、なりやすく、鈍く重い腰痛が同じ姿勢を長時間とった後に出るという特徴があり、体を後ろに反らすと症状が増強し、前屈すると軽減致します。 ⑦腰椎変性すべり症  加齢に伴う腰椎の老化によって、上下の腰椎がずれてしまって起こります。高齢の女性に多く発症し、脊柱管狭窄症の原因疾患の一つで、間欠性跛行や会陰部のほてり等の症状が出ることもあります。 ⑧筋・筋膜性腰痛  腰を支える筋肉や靱帯の緊張や疲労から起こります。鈍く重い腰痛が、同じ姿勢を長時間取った後に出るという特徴があります。

以上に挙げた腰痛は腰椎や周辺の筋肉・靱帯の異常による腰痛ですので、気になる方は近くの整形外科や接骨院を受診して下さい。しかし、腰を含め周辺の組織に異常があって腰が痛いのならいいのですが、中には重篤な病気が隠されている場合もございますので、それらの病気をご紹介致します。

①癌の脊椎転移  癌が腰椎に転移して腰痛を引き起こします。肺癌・甲状腺癌・腎臓癌・大腸癌・前立腺癌等、多く癌が原因となります。特徴と致しましては、安静にしていても強い痛みが出現し、日に日に痛みが強くなり、吐き気も伴う場合は要注意症状ですので主治医に相談するか内科を受診して下さい。 ②化膿性脊椎炎  脊椎に細菌が感染して起こります。高齢者や、糖尿病、癌、肝機能障害等で免疫機能が低下している人に起こりやすいとされております。急性の場合は、腰背部の激痛、高熱を伴います。慢性化すると、痛みは比較的軽くなり、微熱を伴います。病気のある部位をたたいたり、押したりすると痛みが生じることがあります。 ③消化器系の病気  胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆石・胆嚢炎・膵炎・膵臓癌・大腸癌で食事に伴い腰が痛んだり、痛みが強くなったりします。吐き気や上腹部痛があります。 ④泌尿器の病気  尿路・尿管結石・腎結石・腎炎・腎盂腎炎・腎盤炎などで排尿時に腰痛が起こります。吐き気や血尿があり、下腹部や脇腹痛が出現します。 ⑤婦人科系の病気  子宮筋腫・卵巣嚢腫・卵巣癌・子宮癌・子宮内膜症などで、月経時に腰痛が起こったり、痛みが強まったりします。下腹部痛や便秘があります。 ⑥血管の病気  解離性大動脈瘤・閉塞性動脈硬化症などで、腰にいつもと異なる激しい痛みが出る(解離性大動脈瘤)。脚の痺れや間欠性跛行がある(閉塞性動脈硬化症)。

これらの病気は命に直接関わる病気もございますので、おかしいなぁと想ったら、躊躇なく119番に連絡し救急車で救急病院に搬送して戴いた方が賢明かと存じます。その為にも日頃からご自分の体と対峙し体の奥の叫びやサインを見逃さずに自問自答しちょっとでも変だなぁと想ったら医療機関を受診していただきたいと想います。

**********************************************

今回発表されたガイドラインの中に多くの人が陥いりやすい、例えばぎっくり腰になると今までだと「まず安静」という考え方が主流だったのですが、今回からは「安静は必ずしも有効な治療法とはいえない」とし、急性腰痛でも、痛みに配慮しながら可能な範囲で動く方が、ベッド上で安静にしているよりも痛みを軽減し機能を回復させる効果が見込めると記しております。

急性時によく患者様から質問を受ける中の一つに「温めた方がいいのか?それとも冷やした方がよいのか?」と質問されますが、当院では急性のぎっくり腰等で患者様が来院された場合はほとんどの確率で患部を最初は氷嚢で冷やさせます。

illust3332