くるくる保健室No .24『アンガーマネジメントとマインドフルネス』2021年03月31日(旧サイトより再掲)


 みなさん!ついカッとなってどなってしまったことはありませんか? 逆に気持ちを押しこらえて、「あのとき怒っておけばよかった」と後悔したことは、ありませんか?

 時代はコロナ真っ只中、コロナ警察が目を光らせ我々の行動を常に監視したり、インターネットの普及に伴って、叩くネタはいつでも満載、毎日SNS上のどこかで炎上騒ぎが勃発しております。

 今回のくるくる保健室は「怒り」を取り上げたいと思います。

1.怒りとは

先ずは怒りが発生するメカニズムから見ていきましょう! 見るもの、聴く音、触った心地匂い、味の五感がキャッチした多くの情報はいったん大脳新皮質を経由して大脳辺縁系へと送られ、中でも扁桃体という部位にそれぞれの情報が集まってきて、生物学的評価がなされる。 扁桃体が担当する役割は、好き嫌い、快不快、不安や恐怖や悲しみや緊張といった理屈抜きの情動を引き起こします。 怒りの情動もまた、扁桃体の領分です。五感からの情報は扁桃体でまず一次情報として処理されます。 その一次情報が大脳皮質や記憶に関係する海馬、情動と理性の境界である帯状回など、脳の様々な部位にばらまかれて、人は次にとるべき行動を判断しています。 人は扁桃体なくして生命を繋いで行くことは出来ません。 恐怖を全く感じることなく、危険な生物に近づいてガフッとやられてしまっては一巻の終わりですし、怒りをパワーに換え危険生物に立ち向かったりしないとやられるが落ちです。

怒りの一次情報は先ずは脳の扁桃体に集結する。そして、次に扁桃体から怒りの一次情報を受け取った視床下部が出す指令は自律神経系ルートの交感神経を優位に働かせ、脳幹で作られたアドレナリンやノルアドレナリンという神経伝達物質がドバッと分泌され交感神経系の働きを促し、あっという間に心臓をバクバクさせます。 過去の怒り心頭に発した状態を思い出すと、目をひんむき、喉はカラカラに、呼吸は速く荒い、心臓の拍動は激しくなっていたと思う。 この身体状況は他でもない、扁桃体からもたらされた交感神経の働きによるものです。 そして、扁桃体からの情報が交感神経に伝わり人は結果的にどんな行動をとるのか?交感神経が優位になった身体はいってみれば戦闘状態です。 種の保存の為に敵と闘い命を守る行動を取ります。これは最も度胸と覚悟を必要とする行動です。 また、状況が不利な場合は、その場から立ち去ってストレスや危険を回避します。 また、逃げることも闘うことも出来ずにその場にフリーズしてしまう「すくみ反応」というものも起こります。 これは交感神経経由の反応ではなく中脳という部位を経由して起こる反応で「ひきこもり」の行動パターンに類似します。以上が怒りが発生するメカニズムです。 怒り発生メカニズムがあるという事は勿論怒り抑制のメカニズムも我々の身体には抜かりなく備わっております。 視床下部に伝わった怒り情報は、自律神経系以外にも伝達されます。 その一つが腎臓の上にあるアーモンド大の副腎です。 副腎は髄質と皮質に別れており副腎皮質からは下垂体からの命令によってコルチゾールというホルモンを分泌するように促され、交感神経を刺激したり肝臓での糖新生を促して血糖値を上昇させる働きがございます。 さらに、コルチゾールの働きはそれだけではなく、扁桃体に働きかけて興奮を抑制する作用もございます。 一方、交感神経の働きで同じ副腎でも髄質に指令が届くと、ここからアドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンが分泌され、それらが血液経由で脳の中に戻ってきて、海馬に作用します。 すると、海馬が視床下部の興奮を抑制し、さらに視床下部経由で扁桃体の興奮も抑えてくれるという仕組みが生じます。 怒り情報が身体を巡り巡って、各種ホルモンが堂々と扁桃体をなだめてくれるというシステムが備わっているのです。 ムカッとしてからこの間、数秒から数十秒です。その中でも特に海馬は優秀な怒りのなだめ役で、扁桃体と連携し嫌な記憶の学習を促す一方で、記憶が怒りによる生体反応を抑えてくれることもあります。 「こういうことは前にもあった」とか、「あれに比べればこんなの屁でもない」と記憶の引出し情報で怒りを緩和してくれるのです。 さらに海馬の外側には情報を抑制するギャバ神経経路というものがあり、この神経系は運動すると非常に活性化する部位で、運動することで怒りが発散されたような気分になるのは、こうした理由からです。 怒りの感情が湧き上がったら一旦ひと呼吸置き、抑制系ルートの出番を待ちましょう。売り言葉に買い言葉で余計な刺激をおかわりしないことが重要です。 猿でも犬でもワニでも怒りの自律神経系やホルモン系の抑制システムを持ち合わせている。なにせずっと興奮している状態でいると免疫力が落ちたり疲労が蓄積ししまいには死に至ってしまう。 怒り抑制システムは生き物の内部環境を一定状態に戻そうとするホメオスタシスといってもよい。 しかし、我々ヒトの脳がこれだけ肥大化したのにもかかわらずワニと一緒の怒りシステムという事はない。 ヒトには怒りの知的抑制ルートというものが存在します。ヒトをヒトたらしめている知性や理性を司る前頭野にそれはあります。前頭野でも下部、丁度目の上のあたりに位置する眼か前頭皮質という部位が活性化すると、興奮した扁桃体の動きを直接取り押さえてくれます。 一次情報としての怒りで扁桃体が活動してから少し経つと眼窩前頭皮質が遅れて働き出します。 怒りを覚えたときに数を数えて気持ちを静めるという古典的な手法がありますが、これは、経験的に眼窩前頭皮質の作用を期待してのことと思われます。 因みに脳科学の世界では、眼窩前頭皮質の中でも右こめかみの部分は、所謂“堪忍袋”に相当すると考えられています。脳の血流を計測する実験で被験者にストレスのかかる課題を与えると、この部分の血流量が上がるとそうです。 怒りをこらえているときも同様に眼窩前頭皮質の一部の血流量が増しています。つまり、「頭にきている」状態がこれです。抑制が外れて扁桃体がリリースされ、ぶちキレた時は逆に血流量が低下するそうです。 「頭にきている」ときこそ我慢どきです。怒りの原因になる情報を一旦シャットアウトすることが賢明なヒトの証しとなります。 ヒトにはとどめの怒り抑制システム存在します。こちらは脳内物質由来のシステムです。その化学構造が似ていることから、モノアミン系と総称される神経伝達