真冬、雪が降ると景色は一変し、庭の古木も綿帽子をのせ、神社の梅も雪化粧します。そんな冬の情景を、写生ではなく、五感を使って、心の中にある樹木を感じながら描いていきます。
【開講】 教室に入ると通常の講座とは机の配置がちょっと違っていました。講師から見ると「ハ」の字型に机が配置されていました。そして、講師の後ろのボードには、大きな樹木、雪化粧した樹木の写真や絵が沢山貼られていました。
このちょっと違った雰囲気に、臨床美術を経験している方は次への期待が、初めての方は何が始まるのか少し不安に思われたかも。
講座が始まりました。
今回で9回目となる臨床美術体験講座では、「雪化粧する樹木」を描きます。
参加して頂いたのは、本講座への参加経験がある方、初めての方、絵の好きな方、苦手な方など、7名の方々です。
講座を前に挨拶する、くるねっと の石川代表と講師を務める臨床美術士の天本啓子さん(くるねっと会員)です。
◇こころの中に描かれる樹木 臨床美術は、与えられたテーマに基づいて、心の中にそのイメージを作り、そのイメージを用紙に描いたり、色や模様で、時には立体的な形で表現するなど、様々な手法を使い表現します。
今回の講座では「雪化粧する樹木」を描くのですが、雪化粧した樹木を写し描くのではなく、先ずは、心の中に描いた自分だけの樹木が雪化粧していく様子を想像して、その姿を用紙に描き表現します。
心の中に「雪化粧する樹木」をイメージする、と言ってもなかなか難しいもの、ボードに貼られた沢山の絵や写真は、参加者のイメージ作りを助けるために講師が用意したものでした。
◇心の中の樹木を描く 講座が始まってしばらくして、臨床美術が初めての方には、その描き方に、戸惑いがあった様にも見えましたが、講師は、要所要所で描いて見せたり、参加者とのコミュニケーションを図るなど、参加者と向かい合うことでいつしかそれらは消えて、積極的に個性ある樹木を描き始めていました。
講師:「樹木は、根っこから、樹木の成長をイメージして・・・」
次に、心に描いた樹木に雪が降り始め、時間が経過するとともに少しづつ樹木に雪が積もっていく様子を書き加えていました。
講師:「寒さを感じ、樹木にどんな風に雪が積もっていくのかをイメージして・・・」
講座が始まってから約1時間半、全員が「雪化粧する樹木」を描き終わり、仕上がった絵を台紙に貼って、サインを書き入れて完成させました。
◇鑑賞会 鑑賞会では、参加者全員の作品が前方のボードに貼り出されました。
講師は、作品一枚づつを手に取り、「優しい樹木ですね。」などと作者へ話しかけ、作品への思いを引き出していきます。
作者は作品への思いを話ました。
・昔、見たことがある思い出の木。 ・力強い木を描きたかった。 などなど。
初めて参加した人達も、自信を持って自分の思いを伝えていたのが印象に残りました。また、参加者全員が自身の作品に満足し、絵を描き終えた達成感を持たれていた様にも感じました。
皆さんの作品を紹介します。
【講座を終わって】 講師は、自らが描いて見せたり、また、参加者とのコミュニケーションを図るなど、初めての方でも、絵を描くことの難しさを感じること無く、楽しみながら絵を描くことが出来ました。
最後の鑑賞会では、お互いに作品について会話を交わしたり、和やかな雰囲気を感じることが出来ました。
臨床美術をコミュニケーションツールとして導入している企業があるとのこと、本来、講座全体を通して、もっともっと多くの会話があっても良いのですが、コロナ禍の今、それは難しい状況の中での開催であったことが少し残念に思いました。
活動紹介:くるねっと